先週日曜日に、私の家のすぐそばいつもいる路上生活者が殺されたと5日も経ってから知った。
寝る場所は別にあり、そこから毎日うちの近くに物乞いに来ていたらしい。
ここは人通りがあるので、常に物乞いをする人がいる。彼もそのうちの1人だけど、1番孤独そうだった。
他の人は仲間がいたり、通行人と話したりしているが彼はいつもフードを被り、顔を隠すような体勢でいる事が多かった。
彼は細身で若く見えた。
私はいつも素通りしていた。ある時、上着が変わっていたので誰かがあげたのかなとか安心したりしていたが私は素通り。
何をしてよいか分からなかったし、リヨンにはあまりにも路上生活者が多く、慣れてしまったのもある。
ボランティアが盛んに行われ、駅前では炊き出しがあったり、食事を配り歩いている場面には度々出会い、そういう活動をする人をいつも敬意の気持ちで見ている。一度、若いボランティアグループが路上生活者を囲みギターを弾いていたのには驚いた。
さて話を戻すと、彼は寝床にいる時に何物かに石を頭に落とされ亡くなったという。
その男はリヨンから違う街に向かう電車で女性を殴り、電車から降りた時に御用。取り調べでリヨンの事件の犯人という事が判明したらしい。
オランダやストラスブール、ディジョンでも同様の事件を起こしていて前科有りの為、国外退去をさせようと目をつけられていた犯人だったよう。
カメルーン人32歳、サイコパスのような男、捕まって本当に安堵した。
亡くなった彼はエミリオ、39歳 モルダヴィア国籍。
どのような経由で1人でここに辿り着いたんだろう。
亡くなった彼が物乞いを良くしていた場所の一つは近所のお化粧品屋の前。そこの店の前には追悼メッセージとどこからか入手した彼の生前の顔写真が貼ってあった。
花束とパンとおやつ、そしてロウソクも。
亡くなった場所、つまり寝床にしていた場所にはこのようなメッセージがあったらしい。
「あなたに起こったことは本当に残念です......あなたはとてもいい人に見えました。」別のメッセージは、「社会の無関心を嘆いている。"あなたが死んだのは、隣人たちの無関心のせいではなく、社会全体の無関心のせいだ。」
自分に言われている気持ちになってしまった。
ごめんなさいと彼の写真に向かって心で謝ったけど、どうにかしてあげる事なんて自分には無理だっただろう。
若かった彼は、理不尽な殺され方をして初めて世間から注目、同情をされているが、それまでは殆どの人が無関心だったんだよなと思うと、やっぱり謝って冥福を祈る事しか出来ない。
活動を続けるボランティアは心から凄いと尊敬する。
でも、自分とかが気まぐれでその場限りの憐れみでお金あげたり食料をあげても、根本的な解決にならないじゃんって何か居心地が悪かった。
自分はたまたま仕事があり家があり家族がいる。
この人達はたまたま何らかの事情でそれがない。怠け者なだけなのか、運が尽きて路上にいるのかなんて知ることは出来ない。
自分が恵む立場になる事に違和感があった。
でも
その憐れみによる小さな行動が沢山集まれば、その人達はお腹も満たされ暖かい服を着る事が出来、その時に会話も交わせたら孤独を和らげる事が出来るのかもしれない。孤独なまま死んでしまったであろうエミリオを思うと、そう思わされるのでした。
被害者のご冥福を心よりお祈りします。