フランスのホームレスと物乞い事情

フランスにはホームレスと物乞いが日本とは比にならない位存在します。

先日、我が家の近所で一人のホームレスが襲われて殺されるという悲劇がありました。

彼らは路上生活の為、常に危険と隣り合わせです。

街の中心部に住んでいる人にとってホームレスや物乞い日常の光景です。でも彼らも一人一人事情があり、私達と同じ人間です。

改めてフランスの負の側面、住居を持たない彼らについて考えてみました。

ホームレスの定義

ホームレスとは、住んでいる場所がシェルターまたは人が住むのに適してない場所である事、もしくは一時的住居である事。

国によって測定方法や定義が違うために数値の比較は難しい。

また、短期間だけホームレスになった人や、住居不定で友人宅などを転々とする人もいるので実態を調査するのは困難。

フランスと日本のホームレスの数を比べました。

フランス:アベ・ピエール財団の2024年2月1日付の報告によると、フランスでは前年度より3万人増加した33万人のホームレスがいる。

https://www.rtl.fr/actu/debats-societe/la-fondation-abbe-pierre-estime-a-330-000-le-nombre-de-personnes-sans-domicile-fixe-en-france-7900230906

日本:厚生労働省が集計した「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、全国のホームレスは2023年年1月時点で3065人でした。

日本の人口がフランスの倍近くと考えると、日本のホームレスはかなり少ないです。

ホームレス率、2023年 10万人あたりの、ある時点でホームレスを経験したと報告された人口。データは以下によって収集されます。 一年のうち一晩に路上生活者や避難所に泊まる人の数を数える。国によって定義が異なり、 データ収集方法は可能な限り調和されています。

【データで見る私たちの世界】大変興味深いので見てみてください。↓↓↓

ourworldindata.org

ホームレスになる多くの理由

例えば、貧窮や手ごろな価格の住居の不足から、失業、精神的・身体的健康問題、更に女性に多く見られる暴力及び虐待関係まで様々です。

コロナ以降、物価上昇で人々の生活は更に困難になり、賃貸料も上昇しています。

ホームレスになると、更に仕事を探すことが困難になり悪循環に陥ります。

結果、精神的・身体的健康問題を悪化させることになります。

薬物やアルコールの使用率も、ホームレス状態にある人の方が一般人口の4倍高いそうです。5分の2が精神衛生上の問題に対処するために薬物をしようしていると報告されています。(国連ハビタットの推計)

 

フランスのホームレス、物乞い

フランス語での言い方

ホームレス

「SDF」(sans domicile fixe)の略、又は「sans-abri」(abri 避難所)とも言います。

sans 無い

domicile 住居

fixe 定まった

物乞い、乞食

「mendiant」

物乞いをするは「mendier」または、「faire la manche」と言います。

「faire la manche」、私は今回初めて知る表現でした。

manche 衣服の袖

faire する

この表現が誕生するきっかけのお話

中世、闘いの前に女性は自分の為に戦ってくれる騎士に自分の片方の袖を贈った。

このことから、13世紀にはmancheは贈り物や謝礼の意味になり、翌世紀には施しやチップ、更に時を経て大道芸人が仕事の報酬を乞う時に使われ、後に物乞いにも使われるようになった。

フランスに良くいる物乞いの種類

銀行のATM前やパン屋さん、スーパーの前

本当に良くいます。

地面に座って空き缶やタッパー、段ボールにメッセージを書いたものを置いたりしています。子供が何人いるとか、お腹が空いたとか内容はそれぞれです。

積極的にお金を下さいと言ってくる人も多いので初めは驚きました。

更に驚いたのは、親に命令されているのか、真似をしているのかは分かりませんが、子供自身が物乞いしてくる事が多い事です。

一度、お母さんはどこ?って聞いたら冷めた目をしてどこかに行ってしまいました。

物乞いに直接話しかけられた時は、渡せないことを謝るか、Bon jourと挨拶だけして素通りしても大丈夫です。

ただ、ATM前にいられると気まずいので、その時は違うATMに行ったりしてしまいます。彼らも万に一つもらえれば位な感じでしょうし、気にしなくて良いのかなと思います。

地下鉄のホームは親子物乞いが多い

私が使う地下鉄のホームには決まって若いお母さんと子供のペアで座り込んでいます。

初めは小さい赤ちゃんだったのが、少し成長して髪も生えて歩き出しそうになる頃、彼女たちはいなくなり違うペアがやってきました。

子供たちは声もあげず良く寝て大人しい子ばかりです。

お母さんは目がちょっと虚ろな事が多いです。

親子の物乞いは本当の親子ではないと言われていますが本当かもしれません。

親子にある愛情深い光景は見る事は出来ません。

良くない背景を想像せずにはいられません。彼女たちが幸せになる未来はあるのか・・。。

地下鉄の中

良くいるのは、コップを持って車両の端から移動して直接物乞いをする人。

時々小銭をあげている人がいるのを見ますが率は悪いと思います。

たまにいるのが、楽器を弾く物乞いの人。アコーディオンが多いです。

変わった物乞い

台車に飼っている犬を載せて、周りには人形や飾りで華やかにして音楽を掛けているおじさん。

時には時期にあったクリスマスソングをかけていたりいて悲壮感はない。

時々人が変わっているので、仲間で物乞いをしているのか、背景にはもっと大きな黒いものがあるのか謎である。

まとめ

フランスにはホームレスも多いが、住居は多分どこかにあり、稼ぐために物乞いに街に出る人も多い気がする。

また駅の高架下でテント生活をする人の中には、内戦がある国から逃げてきた人もいて定義的にはホームレスだが、物乞いをして生きているかというと国の援助もあるだろうし私には分からない事が多すぎます。

無関心になる事は良くないと分かっているけれど、あまりにも日本と目にするものが違く、どう受け入れて良いか長年フランスに住んでいても分かりません。

家が無い人、物乞いする人の個々の事情が多岐に渡りすぎて・・・。

社会の無関心が、先日のホームレス殺害のようが事件を生むという考えもありますが、

精神的な問題を抱える人も多いらしいので、用心するに越した事はありません。

ただ、そのホームレスは全く無害で大人しい人だったので本当に残念で悲しい出来事でした。

ボランティア精神が強く心優しい人も多くいると思いますが、下手に優しくして危ない目に合わないとも限りませんので気を付けましょう。

一見明るくて話しかけてくるおじさんホームレスもアル中だったりして、どこから豹変するか分かりませんし。

明るく人が良さそうなホームレスのおじさんが、ある日、酔って意味不明の事を叫び怒り狂っている姿を見てショックだったので余計にそう思います。

彼らの存在を拒否するのではなく、距離感を持って生活すれば危ない事は無いと思うので、慣れるしかないですね。

そして、気が向いた時に食べ物をあげたりするのは良いかもしれませんね。

子供には持っていた飴をあげた事はあります。その位のかかわり方が良いのかなと思います。

お金はお酒に変わるのであげたくないですが。

 

では今日も読んで下さり有難うございました。

フランスに来たら多くの日本人が出会うであろう物乞い、心の準備をして来ましょうね!

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